第1段階 「不安」
人はどんなに問題のある家庭環境で育ったとしても、慣れ親しんだ環境を手放すことに不安を感じるものです。また自身の育った家庭に問題があることに気づいたとしても、慣れ親しんだ家庭環境を手放すことに対する恐れから、家庭の問題そのものから目を逸らし、問題が無いかのように過ごす人もいます。(だからと言って問題が消える訳では無く、その問題はさらに深刻化して世代関連鎖となって子供に流れて行く)親との分離のスタートは、まずこの現状(家庭の問題)をどのように受け止めるのかがカギを握ります。(自由を求めて自律の道を目指す)もしくは、(現実から目を逸らし不自由な世界に留まる)この選択はすべてあなたが決めなければなりません。
・親が毒親かどうかの判断に対する迷い(現実の否認そして葛藤と不安)
・親から分離することに対する不安(機能不全家族・共依存関係が引き起こす心理不安)
・親と向き合うことに対する不安(代償行為、モラルハラスメント)
・愛情飢餓による存在不安(見捨てられ不安、試し行為)
・無自覚に親の人生脚本を生きる(親の道具として生きる人生)
・世代間連鎖(親の問題が子供に引き継がれる)
第2段階 「怒り」
自身の生まれ育った家庭に問題があることを自覚し、その問題によって自身が傷ついたことを理解すると、怒りの感情が湧きあがるようになります。この怒りの感情が湧きあがり始めることで、それまで密着していた親との関係に変化が起きはじめると共に、親からの精神的分離がスタートする時期でもあります。
・親に怒りを向ける
・IC(インナーチャイルド・幼少期の自分)が怒っていることを知る
・怒りの感情に心を支配される(親を憎む・親に対する責任追及・他者への攻撃)
・怒りの感情の受け入れを親や他者に求める(自己の怒りの感情の正当性の確認)
・怒りの原因を親に追求する(あんな親じゃなかったら、愛情深い親のもとで育ったら)
第3段階 「悲しみ」
親に対する怒りの吐き出しが落ち着いてくると、親との関係で傷ついたIC(インナーチャイルド)の存在に気づくようになります。ICの存在に気づき始めることによって、自己との対話が始まり悲しみの感情を心の奥底に封じ込めてきたことを知るようになります。また、一時的に怒りと悲しみの感情の狭間で苦しむこともありますが、その感情こそが心の奥底に長年封印してきた感情(インナ―チャイルド)になります。しっかりとその感情に耳を傾けることが後の自己受容につながって行きます。
・フラッシュバック(親との関係で受けた様々な傷の元となった記憶がよみがえる)
・IP(インナーペアレンツ)の妨害による哀しみと怒りの交差
(親に対する罪悪感・感謝などの呪縛による葛藤からの躁鬱状態)
・誰にも理解されない怒りや悲しみに震える
・悲しみの感情から他者に強い同情を求める行動に出る
・親に愛されなかったことに対する悲しみの感情が湧きあがる
・親に対する拒否感からそれまで慣れ親しんだモノを嫌うようになる
第4段階 「癒し(受容)」
怒りや悲しみなどの感情が時間の経過とともに和らぎ、静かに過去を振り返るようになります。次第に親との精神的分離が始まり、自身の内面と向き合う時間が増えるようになるでしょう。時間の経過とともに自己と過去を受容することができるようになりますので、過去のできごとに対する怒りや悲しみなどの感情を少しずつ手放すようになります。
・傷ついたIC(インナーチャイルド)を受け止める
・親という人間を見つめる(親との過去を見つめる)
・怒りや悲しみを手放す
・世代関連鎖の正体に気づく
・親との関係よりもIP(インナーペアレンツ)との問題に関心が向くようになる(親子問題とはIP(インナーペアレンツ)との問題であることに気づき始める)
・存在不安からの脱却(承認欲求の手放し)
・IP(インナーペアレンツ)の支配からの脱却(罪悪感、支配などの親の呪縛からの解放)
・不必要になった過去との別れ(人間関係の整理・親との精神的分離)
・親との関係で身に付けた自己の感情の癖を知る
・親から受け継いだ感情を手放す(コンプレックス・自己否定・自己嫌悪etc)
・IC(インナーチャイルド)との同化(自分を取り戻す)
・親や他者が変わることを望むことの無意味さを知るようになる(自己そして親や他者との境界線の理解が始まる)
第5段階 「自由」
親と完全に精神が分離されることにより、親の人生脚本を生きていたことに気づき、そこから抜け出すことによって本来の人生を生きるようになります。
・過去に抱えていた様々な問題からの解放(過去を振り返れなくなる)
・親から受け継いだ人生脚本から抜け出し、自分の人生脚本を生きる
・心身が一致することによって、自己の思うように生きるようになる
・社会の常識や価値観から自由になり、自分の世界を生きるようになる
第6段階 「意味」
自由を知り、自分の人生を自分の意志で生きるようになると、自己の生きる意味を知るようになります。
・感情から解放されて、自己の内面世界を生きるようになる
・自他の区別が無くなり、自己の世界がすべてになる
・第1〜4のプロセスを経験することによって親との精神的分離が徐々に進みます
不安や怒りそして悲しみのプロセスを辿ることにより、癒し(受容)が起こるようになります。これらのプロセスを経た後に、親との精神的分離が行われて意識の変容が始まります。その結果として自由そして意味という世界に辿りつくようになります。
・外部に対する認識や視点に変化が起こる
第1階層から第4階層のプロセスで変化が起きるのは、自分以外の外の世界の認識が変わる点にあります。第1階層では、親との関係性の問題で悩んでいたことが、階層が変わるごとにIP(インナーペアレンツ)との問題であることに気づき、親との関係が原因となって問題が起きていると思っていたことが、実はすべてのことは自身の心の内面で起きている結果に過ぎないことに気づくようになります。
*これは親子関係に限らず配偶者や他者との関係でも同じです。
・この階層理論の段階は優劣を評価するものではありません
この図表は人間性の優劣を表現したものではありません。自己の心理状態の一つの目安として頂くことが目的です。あくまでも自律に向けた心の変容のプロセスを図式化したものであることを理解して頂ければと思います。また、この心理階層は理屈で階層を上がろうとしても、上がるものではありません。すべては階層ごとの体験が導いてくれます。IC(インナーチャイルド)としっかり向き合うことで、必ずその人が必要とする世界に導いてくれますので、焦らずじっくり自律に向けて歩いて頂ければと思います。
・IC(インナーチャイルド)とは?
幼少期に抑え込まれた感情の原形又は意識体をIC(インナーチャイルド)と私は呼びます。
・IP(インナーーペアレンツ)とは?
親の意識体(心の中で作り出した存在)であり、禁止令や否定など子供の自由意志を阻害する存在
を指します。
*ICとIPという名称にこだわる必要はありません。意識体をわかりやすく説明する記号として利用しているだけに過ぎません。
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