影宮コラム 「私を見捨てることは許さない」
「私を見捨てることは許さない」
日々のカウンセリングの中で一番解決が難しい問題が、
「過保護(過干渉)」
の問題です。
過保護(過干渉)の問題の解決の何が難しいのかと言うと、
「相談者本人が何が問題なのかを理解できない点」
にあると言えます。
専門家から見れば問題が明確ではあるけれど、
本人がそれを問題と認識しない限り、相談者にとってそれは問題にはなりません。
(例1)
「自分が何をしたいのかわかりません」
「好きにやりなさい。と言われると凄く戸惑う」
「結婚しているのに近くに親がいないと凄く不安になる」
このような心理不安の背景には必ず親の過保護(過干渉)が影響しています。
過保護タイプ(過干渉)のご両親に育てられた子供の特徴として、
・親の顔色を常に伺ってしまう
・親の許可を心のどこかで常に求めてしまう
・親の表情に敏感である
・親の干渉を愛情行為と誤解している
・親の意見が常に最優先される
・親の失望が何よりも怖い
・親のそばにいることで安心感を得る
過干渉タイプの親の特徴
・常に子供の行動を把握しなければ不安になる
・子供の心配をすることが愛情だと誤解している
・子供の先回りに神経を尖らせている
・夫婦の仲が冷め切っている
・大人になった子供の世話を焼きたがる
・子供が離れていくことに強い不安を感じる
・子供の自立心を阻害する行動が多い
(例1)で挙げた不安の背景には、
「自分が何をしたいのかわかりません」
→ 子供の自由意思が育つのを阻害する親の下で育った
「好きにやりなさい。と言われると凄く戸惑う」
→ 常に子供の先回りをして答えを用意する親の下で育った
「結婚しているのに近くに親がいないと凄く不安になる」
→ 子供の成長に応じた親子間の境界線がわからない親の下で育った
このような親子の関係が上記の心理不安の背景に存在します。
また過保護(過干渉)な親、またはこのような親に育てられたタイプの子供に共通するある不安障害があります。
「見捨てられ不安」
*見捨てられ不安とは?
愛着障害が原因となる不安障害の一種であり、幼少期に母親との間で絆の構築がスムーズに行われなかったことが要因となっていることが多い。
見捨てられ不安を抱えている人の特徴
・自分を受け入れてくれる相手に対して強い独占欲を持つ
・甘えたり、冷たくしたり極端な態度をとりがちである
・他者に見捨てられることに強い不安があるのでしばしば攻撃心を向けることがある
・相手に見捨てられそうになると、自分から関係を壊す行動を取ることがある
・常に相手に必要な人物だと思わせるために過剰に世話を焼きたがる
・他者を困らせて関心を自分に向けさせるような行動を取ることがある
・見捨てられないように従順な振りをする
・他者との間で対等の関係を築くことを難しく感じる
過保護(過干渉)な親によく見られる特徴を挙げてみましたが、思い当たる節がいくつかあるのではないでしょうか。
「過保護な親(過干渉)の心の背景には見捨てられ不安がある」
と考えれば、過保護な親の行動の原因も見えてきます。
「過保護な親の子供に対する行動は子供を思う気持ち(愛情)から始まっていると言うよりも、子供に見捨てられることの不安から始まったものである可能性がある」
とも考えられるのではないかでしょうか。
このタイプの親に逆らうと、
「あなたもお母さんを捨てるのね」
「お母さんを捨てて幸せになれるはずがない」
「あなただけが幸せになるなんて許せない」
→「私を見捨てることは許さない」
「勝手にしろ!もう絶縁だ」
→ 「子供に見捨てられるくらいなら、こっちから捨ててやる」
「育てるために掛かった費用を返せ」
→ 「簡単に見捨てられてたまるか!養育費を返すまでは離さない」
上記のような言葉で子供が離れることを阻止する行動に出ることがあります。
*見捨てられることに対する不安が大きな要因になっていることは間違いありません。
過保護(過干渉)な親そして見捨てられ不安について皆さんもぜひ考えて頂ければと思います。
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