お母さん、娘をやめて良いですか?の考察
お母さん、娘をやめて良いですか?の考察
最終回を迎えましたね。
ラストの展開は急な展開のように見えますが、プロセスで見るとそれぞれが人生の再出発までの道程を上手に表現することができたのではないでしょうか。
あのドラマは私たちに次のことを教えてくれました。
「人は無意識に眠る何かを投影して生きている」
「親との間で刻まれた心の傷が人生を支配することもある」
「自身の親との関係は自身の子との関係にも大きな影響を与える」
「親を優先する価値観は子の人生を狂わす原因にもなる」
「歪んだ愛情は子どもを不幸にする」
美月は母親のお人形さんのような人生を送ってきました。
「お母さんを喜ばすことが私の幸せ」
また美月のお母さんも大きな勘違いをしていました。
「母親の期待に応えることが私の喜び」
美月の母親の顕子は自身の母親に否定ばかりされたのでしょう。承認欲求を幼少期に満足に満たすことができなかったことで、他者に対して不信感が芽生え、その心の傷を埋めるために美月が都合よく利用されました。
*もちろん顕子自身はそのことに気づいていません。無意識にある親との関係でできた傷が顕子を動かしているからです。
美月の母親のように親子関係につまづきがある親は次のような特徴を持つ傾向があります。
・理想の家族を強く求める
・配偶者に過剰な期待をして失望を繰り返す
・家族に(自分の理想の家族像)を押し付ける
・黒か白的な思考なので夫婦間でトラブルを作りやすい
美月の母親は自身の母親との関係で刻まれた傷にずっと人生を翻弄され、そして自身の家族を巻き込んで行ったのです。
これが、
「親子間の負の連鎖」
です。
*これは何も珍しいことではありません。
多くの親が気づかないだけで誰でもやっています。
美月はその負の連鎖から逃れるために母親に挑みました。
負の連鎖から目を背けている毒親となった母親からすると美月の行動は納得が行かないものなのかもしれません。
*毒親の認知の歪みの特徴です。
しかしそんな毒親である母親の妨害を跳ね除けて、美月は最終的に母親そして父親を負の連鎖から逃れるように手を差し伸べる役割を立派にやり遂げました。
本当の意味での親孝行を彼女は行ったのです。
・親に人生を奪われた母親
・生きる意味を見失っていた父親
を美月は救い出しました。
しかし美月の人生はまだ始まったばかりです。今ままで母親の人形として生きた美月はこれからの人生を通して、自分を取り戻さなければならないからです。
*もちろんそこには数々の苦難も出てくるでしょう。もしかしたら、今後のの美月は異性(松島)のサポートを必要とせずに自分の力で生きていく道を選んでいるかもしれません。
八話という短い期間ではありましたが、親子問題の解決のプロセスがきちんと凝縮された良作だったと私は思います。
*具体的な親子問題の解決をドラマに求めるのは難しいでしょう。問題提議につなげることができたことだけでも、この作品は大きな結果を残したと思います。
実際の現場はあのようにスムーズにことは運ばないことが多くありますが、その点を差し引いても親子問題を抱えている人にとってはとても参考になる箇所もあろうかと思います。
私たちもしっかり考えなければなりませんね。
「家族」
「親子」
そして「夫婦」とは何かについて。
私の取材コメントが掲載されている母娘問題の本が出版されました。

(母娘問題 オトナの親子)